成長していることをどう証明できるか:収益0円の裏側に隠されたビルダーの『細筋肉』
戦略家から個人開発者へ。アドセンスとの8ヶ月にわたる死闘と、収益0円から学んだ成長の真の指標。
指標が消えた時代、私はどこに立っているのか
戦略コンサルタントやCTOとして生きていた頃、私にとって「成長」とは明確な数字でした。エクセルシートの上に描かれる右肩上がりの売上曲線、数千億円単位のプロジェクト規模、年収の上昇幅、そして組織内での自分の声の大きさを表す役職の高さ。それこそが私の価値であり、私が成長しているという最も確実な証拠でした。
しかし、1人ビルダーの道に入った今、その華やかな指標はすべて蜃気楼のように消え去りました。毎朝目にするのは、「収益0円」という冷ややかな数字です。AIのAPI利用料や運営費は毎月口座から消えていくのに、入ってくるお金はありません。戦略家として「収益性のない事業」を誰よりも警戒してきた私が、いざ自分のプロジェクトでは8ヶ月間も収益を出せていないのです。
このような状況で「私は成長しているのか?」という問いを自分に投げかけるのは、時に自己否定に繋がりかねません。目に見える結果がない時、人は本能的に自分が停滞している、あるいは退歩していると感じてしまうからです。しかし、私はこの沈黙の時間の中で、「成長」に対する新しい定義を下さなければなりませんでした。そうでなければ、この道を歩み続ける動力を失ってしまうからです。
8ヶ月のトンネル、アドセンスという壁の前で
私を最も苦しめたのは失敗そのものではなく、「理由のわからない停滞」でした。idealtypetest.comを運営しながら、私はひたすらGoogleアドセンスの承認だけを追い求めました。「広告さえつけば収益化が可能だ」「アドセンスさえ通過すれば次のステップに進める」という考えは、私のTo-Doリストであり、唯一の成果指標になっていました。
しかし、Googleは冷静でした。8ヶ月間、理由のわからない「アカウントの問題」で承認が拒否され続けました。コミュニティを漁り、世界中の事例を探し、Googleに直接メールを送っても、答えは返ってきませんでした。戦略家として常に正解と解決策を提示してきた私が、自分のサービスの些細な広告承認ひとつ解決できない無力感に陥りました。「自分の実力が足りないのか?」「この道は本当に合っているのか?」、数千回自問自答しました。
結局、8ヶ月目にアカウントを削除して作り直すという「強硬手段」をとって初めて、それがサービスの質の低さではなく、アカウント自体の不具合であったことを知りました。誰かは8ヶ月という時間を無駄にしたと言うかもしれません。しかし、その息苦しいトンネルの中で私が諦めずにvibe-pickへと舵を切り、得られた結論はひとつでした。成長とは外部の承認(アドセンス)ではなく、自分が次の手を打てる「レジリエンス(回復弾力性)」そのものにあるということです。
ローレベルから鍛え上げられた、非専攻者の「細筋肉」
多くの人が「バイブ・コーディング」の時代を語り、AIがすべてを代行してくれると信じています。しかし、私はあえて逆を行くことにしました。idealtypetest.comを作る時、私は一般的なフレームワークやレイアウトも使わず、純粋なHTML、CSS、JavaScriptだけで一からコードを書きました。非専攻者として、他の人が1時間で終わらせる作業に、私は何日も徹夜してしがみつきました。
当時は非効率の極致だと思っていました。しかし、今振り返れば、それは私がビルダーとして持つことのできる最も強力な「基礎体力」となりました。ライブラリが代行してくれていた領域を直接実装してみることで、私はウェブの構造を深く理解するようになり、今では11tyのようなツールを活用して共通化作業を行い、作業時間を大幅に短縮しています。PythonやStreamlitという楽な道を知りながらも、あえて静的デプロイやCloudflareのエッジ環境を学ぶ理由も明確です。
真の成長は「何を作ったか」ではなく、「今、何をより速く、正確に作れるようになったか」にあります。以前は何日も彷徨った技術的な問題を、今では数時間で解決し、複雑なインフラ構造を頭の中で描き出せるようになった変化。数字で見えないこの「思考の筋力」こそが、私が8ヶ月間収益0円の中で得た最も価値ある資産です。
成長の基準を変える:ミスと繰り返しの観点から
今、私は成長を証明するために外部の指標を借りてくることはしません。代わりに、自分自身への問いを変えました。
「私は昨日と同じミスを繰り返しているか?」
もし同じ問題に直面した時、以前より迷わなくなっているなら、より良い構造を選択できるようになったなら、収益が0円であっても私は成長しているのです。収益は市場のタイミングと運が結合した「結果」に過ぎませんが、問題を解決する能力は自分の体に刻まれた「実力」だからです。
アドセンス通過という短期的な目標に埋没して前に進めなかった過去を反省し、今は「たゆまぬデプロイ」を新しい指標に据えました。vibe-pickをアプリとしてリリースし、また別のサービスを継続的に市場に出していくプロセスそのものが、私の成長の場です。収益0円を補うために「投げ銭(後援)」という新しい窓口を作ったのも、単にお金を得るためではなく、市場とコミュニケーションする方式を多角化しようとする試みのひとつです。
結論:証明されなくても、止まらない理由
まだ私の成長は数字で証明されていません。相変わらず口座はマイナスで、夜になると「これが本当に正しい道なのか」という不安がふと頭をよぎります。しかし、私がベッドで寝返りを打ちながらも、結局またコンピュータの前に座る理由は、昨日より今日、私が少しだけ「この世界の文法」を深く理解できるようになったという確信があるからです。
戦略家時代の華やかな年収や役職は他人が与えてくれたものでしたが、今私が泥臭く積み上げたこの技術的な「細筋肉」と問題解決能力は、紛れもなく私自身のものです。83ヶ国のトラフィックを一人で捌いた経験、アドセンス問題と死闘を繰り広げた8ヶ月、そしてダオンとバオの食事時間を守りながらコードを書くこの日常は、決して無駄にはなりません。
今積み重なっているこの「点(Dot)」たちが、いつ、どのように繋がって巨大な線になるかはわかりません。しかし、私は止まりません。証明されなくても、収益がすぐには見えなくても、私は毎日少しずつ「ビルダー」として完成されていっているからです。
失敗しても大丈夫です。また方向転換し、また挑戦し、その過程を皆さんと共有しながら、私は自分の道を歩き続けます。それこそが、私が成長を証明する唯一の方式です。
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